アンケート集計 まとめ方について

せっかくとったアンケートも、まとめ方を誤ると有効に活用できません。そのため、アンケートを集計する際は、ポイントをしっかり押さえて、正しい方法で集計してまとめる必要があります。アンケートの集計方法や分析方法はたくさんありますが、基本的な流れについてはどれもそれほど変わりません。この記事では、アンケートの集計方法やまとめ方、分析方法について解説しているので、アンケートをビジネスに取り入れたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

アンケートをまとめるときの基本的な流れ

アンケートの集計方法やまとめ方を紹介する前に、アンケートをまとめるときに押さえておくべき流れを紹介しておきます。

単純集計して回答の傾向を知る

単純集計は、それぞれの質問に対する全回答者の回答を、単純にパーセンテージで集計したものです。単純集計は、回答の全体像の把握に最適な集計方法です。

回答傾向からより細かなデータを把握する

単純集計で回答傾向が把握できたら、さらに回答を属性などの条件で細分化して、より詳細なデータとして把握します。回答数や回答者の代表性を見ることによりデータの信憑性を確認することも重要です。

得られたデータから分析結果を導き出す

詳細なデータが得られたら、そのデータを基に結論を出します。この際、原因やその原因から生じた「因果関係」と、片方が変化すれば、もう片方も変化する密接な関係「相関関係」を混同しないことが重要です。

因果関係の例:気温が上がるとアイスが売れる
相関関係の例:学歴と年収

アンケートをまとめやすくするポイント

アンケートを集計し、まとめやすくするためのポイントについて解説します。

アンケートは単一回答で作成

アンケートは、なるべく単一回答で作成すると集計しやすくなります。複数回答やフリーアンサーの項目が多いと、アンケートを集計する際の手間も多くなります。

正しい集計方法を選択する

アンケートでは、全体像の把握に最適な「単純集計」と、属性別に傾向の把握が可能で、より詳しく分析できる「クロス集計」が用いられます。アンケートの目的を考慮し、正しい集計方法を選択することが重要です。

アンケートの集計方法・まとめ方

アンケートの回答を全体像の把握や属性別にその傾向を把握するには、アンケートの回答を集計しなければなりません。アンケートの集計方法には、先ほども触れたとおり、単純集計とクロス集計があります。これらはアンケートの集計方法としては基本中の基本なので、必ず覚えておきましょう。

単純集計でまとめる

単純集計(GT集計)は、アンケートの回答の全体像をつかめる、非常にシンプルな集計方法です。「GT」とは「Grand Total(総計)」のことです。これを見ても、非常にシンプルな集計方法であることがわかっていただけると思います。
単純集計では、質問ごとにその結果を集計します。各選択肢を選んだ回答者のパーセンテージを出すことで、全体的な傾向がつかめるというわけです。

※単純集計の例

回答者数 パーセンテージ
とてもおいしい 80 40
おいしい 40 20
普通 35 17.5
まずい 35 17.5
とてもまずい 10 5
全体 200 100

上記の単純集計結果を見ると、全体の60%が「おいしい」「とてもおいしい」と答えているので、全体的にはこの商品を「おいしい」と考えている人が多いという傾向が把握できます。ただ、「普通」「まずい」「とてもまずい」の合計が40%に達していることを考えると、誰もが好きな味ではないこともわかります。
単純集計はこのような感じで役立てます。

クロス集計でまとめる

クロス集計は、年代別、性別、居住地別など、回答者の属性ごとに詳しくその傾向をつかめる集計方法です。クロス集計では通常、これらの属性を組み合わせることで分析を行います。

クロス集計の例:月に1回以上、釣りに行きますか?

はい いいえ
全体(300人) 150人(50%) 150人(50%)
男性(150人) 90人(60%) 60人(40%)
女性(150人) 60人(40%) 90人(60%)

全体の回答を単純集計すると、月に1回以上、釣りに行く人は回答者300人の半数である150人。月に1回以上、釣りには行かないという人が同じく150人でした。しかし、男女別で見ると、男性の60%は月に1回以上釣りに行くと回答し、40%と答えた女性よりも男性のほうが、毎月釣りに出かけている割合が多いことが、この集計結果からは見てとれます。

・クロス集計で注意すべきこと

クロス集計では、クロスさせる属性などの情報が増えるほどそれぞれの回答者数が減っていきます。そのため、回答者数がそもそも少ないと、有効な結果が得られません。クロス集計でアンケートの結果を集計する際は、少なくとも30人の回答者を確保しましょう。
クロス集計では、属性やほかの質問とクロスさせることで、より詳細な傾向を把握できます。しかし、全体像を把握し、その本質がつかめていないと、集計結果を読み違えてしまう可能性があるので注意が必要です。

アンケートの主な分析方法について

アンケートの集計作業が終わったら、データの分析を行います。主な分析方法を紹介します。

アソシエーション分析

アソシエーション分析は、データ間に存在する関連性(アソシエーション)を分析する分析方法です。
たとえば、

「サービスAを利用している人は、サービスBを利用していることが多い」

など、関連性がなさそうなことに意外な関連性を発見できることが、このアソシエーション分析の優れた点です。
関連性だけではなく、データ間になんらかの法則を見いだせる場合もあり、企業の販促活動にも大きく役立てられます。

クラスター分析

クラスター分析は、ルールを設けて回答者をグループ(クラスター)に分けて、各グループの傾向をつかむ分析手法です。
クラスター分析は、「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」に分けられます。
階層クラスター分析は、似た回答者をグループ分けして、それぞれの関係性をつかむのに便利です。
非階層クラスター分析は、グループの数を事前に決めておき、そのグループごとに分析を進めていきます。主にサンプル数の多いデータを分析する際に用いられます。

決定木分析

決定木(けっていぎ)分析は、「ディシジョンツリー」とも呼ばれる分析方法です。1本の幹から枝分かれする木の構造を利用する形で分析を行います。一つひとつの要素に対し、「もしも~だった場合は?」という仮説を立て、複数の予測を行います。
決定木分析は、さまざまなビジネスシーンで活用されています。満足度の高い顧客の抽出や見込み顧客の属性を特定する場合などに最適な分析方法です。

主成分分析

主成分分析は、似た属性でグループを作って分析する手法です。階層クラスター分析と似ていますが、主成分分析は、アンケート結果が似ている回答者をグループにするという点で異なります。通常、集計項目が増えると属性もどんどん増えてしまうため、分析が難しくなってしまいますが、主成分分析ではアンケート結果が似た回答者をグループ分けするため、全体の傾向をつかみやすくなります。

まとめ

アンケートをとったら、速やかに集計してデータを分析し、分析結果をビジネスに生かします。目的が曖昧なままにアンケートをとっても、そのまま結果は生かされることなく放置されるだけです。この記事で解説したアンケートの集計とデータ分析の方法は、とてもベーシックなものです。ぜひ、あなたのビジネスにもアンケートを役立ててください。

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