アンケート調査分析で使う「クロス集計」とは?
アンケート調査の回答を集計する方法としてよく使われている「クロス集計」。クロス集計は、単純集計とは異なり、属性間の回答傾向を知ることが可能な分析方法です。この記事では、クロス集計について詳しく説明しています。アンケートをビジネスに生かすことを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
クロス集計とは?
クロス集計とは、アンケートなどの手法で集めた回答を、複数の分析軸で集計する「集計手法」のことです。
単純集計では、アンケートの回答を質問ごとに集計することしかできません。しかし、クロス集計では複数の分析軸を「属性」や「回答の選択肢」などに割り当てることで、属性間に現れる傾向などを知ることが可能です。
実は、私たちはこのクロス集計に、毎日のように接しています。テレビや新聞などのメディアには表やグラフがよく登場します。これらの多くが「業種別」や「年代別」など、「~別」の分析軸によりクロス集計されたものです。
クロス集計で分析を行うメリット
結果をわかりやすく表示できる
クロス集計を使うと、大量に存在するアンケートのデータを、2つ以上の分析軸でセグメント化して集計できるため、単純集計よりもデータをもっと深く分析することが可能になります。対象の傾向を、グラフや表を使って可視化できることは、クロス集計の大きなメリットだといえるでしょう。
ツールがあればかんたん
クロス集計は、分析のベーシックともいわれる集計方法です。MS Excelを使えば、誰でもかんたんにデータ分析ができることも、クロス集計のメリットだといえるでしょう。
クロス集計の種類
クロス集計では、分析軸の割り当て方を変えることにより、さまざまな調査対象の傾向を分析することが可能です。
属性クロス集計
「属性クロス集計」は、職業や家族構成、住んでいる都市や地域、男女、年齢層など、回答者を属性で分類して、その傾向を比べることが可能な集計方法です。
設問間クロス集計
「設問間クロス集計」は、属性以外の質問への回答を分析軸に割り当てることで、特定の回答をした人の傾向を比べることが可能な集計方法です。
たとえば、サービスを利用している人の利用頻度別満足度を調べるなど、属性クロス集計よりも少々複雑な傾向を把握することが可能です
多重クロス集計
「多重クロス集計」は、3軸以上の分析軸により集計を行う方法です。たとえば、「男女」「年齢層」「質問への回答」を分析軸に置くことで、傾向を量ることが可能です。
たとえば、「利用満足度」を「男女別」「年齢層別」で集計すれば3重クロス集計、さらに「使用頻度」を加えれば4重クロス集計になります。
クロス集計表の読み方や用語
ここからは、クロス集計表の読み方を説明します。
表頭と表側
クロス集計表の上部の配置を「表頭(ひょうとう)」、左側の配置を「表側(ひょうそく)」と呼びます。
度数と割合
表頭から下方向に、表側から右方向に見て重なった枠に表示されるのが「度数」と「割合」です。度数は回答の数、割合は全回答に対するパーセンテージです。
SAとMA
SAはSingle Answer(単一回答)、MAはMultiple Answer(複数回答)を表します。
アンケートへの回答経験がある方はおわかりかと思いますが、質問の中には、ひとつの答えだけではなく、「当てはまるものすべてを選んでください」という質問もあります。これがMAです。
MAでは、選択肢の割合を合計しても100%にはなりません。SAでは選択肢の割合を合計すると絶対に100%になるため、もしも100%にならないような事態が発生したら、どこかに誤りがあるのでチェックする必要があります。
横%表
表頭に質問への回答(選択肢)が配置され、その回答の割合を横方向(右方向)に足していくと100%になる表のことを「横%表」と呼びます。
縦%表
縦%表は、表側に質問への回答が配置され、その回答の割合を縦方向(下方向)に足していくと100%になる表のことを「縦%表」と呼びます。
「n」と「N」
アンケートの集計表にはよく「n」の表記が使われています。これは統計学でいう「n=スモールエヌ」で、「標本サイズ」のことです。「N=ラージエヌ」は「母集団」を表すため、通常、母集団から選ばれた標本を対象としたアンケートでは「n」が使われます。全数調査を行う際にのみ「N」が使われます。
クロス集計で注意すべきこと
クロス集計では、細かく分析軸を設定しすぎると、「n」の値が小さくなりすぎて分析できなくなってしまう場合があります。詳細な分析を行う場合は、アンケートを行う前の段階で分析に必要な標本サイズを設定して、その数を確保できるよう、アンケートの設定を行います。
まとめ
クロス集計について解説しました。クロス集計は、アンケートの回答を集計・分析する方法としてはベーシックなものです。わかりやすく、ツールを使えば誰でもできるので、あなたの会社のアンケート戦略にも、すぐに取り入れられます。